きっかけは孫正義氏らしい。
<日本は「かつて豊かだった」のではなく、もともと貧しかったのだ。事実、日本の労働生産性の順位はこの50年間ほとんど変わっていない。昔から傑出した技術大国であったという自らの「勘違い」に向き合わねば、日本経済はトンネルを抜けることはできない> 「日本はAI後進国」「衰退産業にしがみついている」「戦略は先輩が作ったものの焼き直しばかり」。ソフトバンクグループの孫正義社長による手厳しい発言が話題となっている。(ニューズウィーク)
この後進国と言う発言はおおむね生産性の低さを念頭に言っているものと思われます。確かに日本は生産性が低いでしょう。では日本の生産性は低いのか、会社を辞めた人間なら大体納得するであろう答えがあります。
そしてその答えというのは生産性というような全体の数字を平均した結果ではなく、その数値を構成する1つ1つの企業にあります。経営者が日本は後進国であるなどということがいかに無責任で自分の無能さを覆い隠すものかこの記事を読めばわかるでしょう。
日本の低生産性を作り出すもの
企業の数字の結果は経営者の采配の結果に他なりません。経営者が無能なら会社はつぶれてしまうこともあるでしょう。その一つ一つの会社に数字を平均して日本の生産性と言っているにすぎません。
日本は低生産性の国である、というのは概念です。その概念が先にあるわけではないのです。必ず企業があって、低生産性の企業が多いから日本全体で低生産性となっているだけのことです。
なので日本の生産性が低いからと言って、日本が後進国だからだ、という結論に至るのは逃げでしかありません。
年功序列・非実力主義
日本の会社は実力主義を採用していない会社が多いです。採用していたとしてもしばらくすると社内政治のほうが上回り、無能でも従順な人間が取り立てられるようになります。
実力主義で出世した人間も地位を維持したいので自分より有能な人間を取り立てようとはしないのです。
こうして日本には実力主義が根付くことなく失敗します。最終的にはある程度競走した段階で社内力学は安定し、固定してしまうのです。
そういうのは実力主義の会社に言えることですが、もともと年功序列の会社も多いです。そういう会社では非常に優秀で才能の塊のような人間も平等に扱われてやめてしまうか、モチベーションを失い普通の人間になってしまうのです。
日本の会社にはずば抜けた人材は存在しない
会社と言うのは1%の人間が99%の利益を稼ぎ出し、あとはぶら下がっているような場合も多いです。その数字が極端だとしても80:20で8割がぶら下がっている状態というところがほとんどでしょう。
しかし、日本では上述のように才能ある(優秀な)少数派が育たないために富を生み出す数%の人間がつぶれてしまうわけです。それでもちゃんと業績を上げている会社は何とか力のある人間が上層部に至り、ビジネスモデルそのものが優秀であったり、マクロの環境要因で稼げているのでしょう。
しかし本来はずばぬけた人間を引き上げて適切なポストを与えさえすれば莫大な業績を上げる人間もいるはずです。それが隠れてしまうのが日本であり、経営者の無能さなのです。
つまり日本では生産性を飛躍的に高めるような人材はつぶされていなくなってしまうために低生産性なのだといって間違いありません。
残業体質
日本は業績が悪かったりすると、その原因をビジネスモデルや業務などに見出すことはなく、労働時間が短いからだというような短絡的な考えに陥っている企業がほとんどです。
私も営業で数字があがらないと、とにかく頑張りだけは見せるといって残業させるような場面に出くわしています。(達成した私を巻き込むなよ!)
こうして、日本は低下する生産性を無限のサービス残業でごまかして来たのです。
生産性の数字の出し方はよくわかりませんが、おそらく実態に基づいていない労働時間によって算出されているでしょう。実際にはもっと異常な残業が行われているのであり、それをもとにはじき出せばさらに悲惨な生産性の数値になるに違いありません。
日本のサラリーマンは他国の2倍は働いている!
日本の低生産性は経営者がつくりだしたもの
このように日本が生産性の低い状態のままなのは、日本的経営に原因があるしか思えません。日本では才能より努力が重んじられ、実力より人間関係が重視されるのです。
確かに優秀な営業マンと経営能力は違うものかもしれません。しかし、数字を挙げるような人間は常に実力より安い給料で雇われています。そのような人がモチベーションを失ってしまう一方で、よくわからない事務畑の人間がおべんちゃらによって昇進していくという意味の分からない社内政治が行われていたりするのです。
結局は能力より従順さが重視される日本の会社の悪い体質が結果としての低生産性を生み出しているにすぎません。
そして、、それを作り出したのは有能な人材を引き上げることもできず、ひたすら社員にサービス残業というただ働きを押し付けることで利益を上げてきた無能な経営者のせいなのです。
しょせんは自分におべんちゃらをいう従順な部下だけを引き上げて自分だけ安泰でいたいという経営者や出世した幹部の無能さの結果が個別の企業の生産性であるにすぎません。
日本を後進国である、とすることは経営者の無能さを隠す行為
日本は低生産性の国である、ということはマクロ経済の観点から見ているということです。しかし、低生産性というのはすでに書いた通り、会社を抜きに存在することはないのです。1つ1つの企業の数字の積み重ねが全体であるにすぎません。
もちろん結果としてのマクロの現象というのはあるわけですが、それを言って何になるのか。マクロの数字を誰かに解消してもらうまで待つということなのか。
日本の生産性を改善できるのは1つ1つの企業であり、実行するのは経営者です。
自分の責任を放棄して日本は後進国であるなどと言ってしまう経営者がいるのはとても残念なことです。こういう人がリーダーをやっている限りこの状況は変わらないでしょう。
まあ加えてポジティブなことを言っておくと、優秀な人間は日本企業には残らず独立しています。なので日本企業が低生産性だとしても、ずば抜けて一人で稼ぐ日本の個人がこれからの日本を引っ張っていくでしょう。